株式会社ダイブが2026年8月に発表した「地方移住に関する意識調査」を読んでいて、正直ちょっと驚いた。
リゾートバイト専門求人サイトの登録者2,138名を対象にした調査で、地方移住に前向きな「関心層」は全体の80.9%。しかも12.5%は、すでに具体的に検討や準備をしているという。
数字だけ見ると、地方が抱える人手不足は「需要がない」から起きているわけじゃない。むしろ「行ってみたい」と思っている人は十分にいる。問題は、その関心が実際の移住や転職にまで繋がっていないところにある。
住んでみたい場所として一番多かったのは、海や山などの自然に囲まれた地域。一方で、移住先に求める条件のトップは家賃や物価の安さ、次に生活インフラの有無だった。憧れは自然の中の暮らし、でも現実的な生活基盤は譲れない。このギャップに、たぶんヒントがある。
同じ「関心層」でも、見ている場所が違う
このデータを読んでいて、一番「あ、そうか」と思ったのがここだ。
同じ「移住に関心がある」人でも、世代によって重視する条件がまったく違う。家賃や物価の安さを一番気にするのは30代。年齢が上がるほど、その優先順位は下がっていく。代わりに重視されてくるのが、スーパーや病院などの生活利便環境と、「まずはお試しで住める環境」があるかどうかだ。特に40代・50代でその傾向がはっきり出ている。
若い世代は家計を見ている。年齢が上がった世代は、暮らしの安心感を見ている。同じ「移住関心層」という言葉でくくっていたら、きっとどちらの心にも届かない求人になっていたと思う。
「お試し」できることが、不安を溶かす
もう一つ、印象的な数字があった。
リゾートバイトのような「働きながら住んでみる」経験が、お試し移住として役立つと答えた人は合計94.3%。ほぼ全員と言っていい。
考えてみれば当たり前で、いくらパンフレットやWebサイトで魅力を伝えても、実際に住んでみないと分からないことの方が多い。物価感も、地元との距離感も、暮らしてみて初めて実感が湧く。情報を尽くすことよりも、体験できる入り口を用意することの方が、案外効くのかもしれない。
感覚で語っていたら、たぶん見えなかった
正直に言うと、こういう調査データを読むまでは、僕自身も「移住に興味がある人」を漠然と一つの層としてイメージしていた。でも実際は、年代によって求めているものが違う、いくつもの層が重なっているだけだった。
僕たちのクライアントにも、地方の製造業や中小企業が少なくない。「人が採れない」「若い人がすぐ辞める」という悩みを聞くたびに、僕もその打ち手を一緒に考えながら、正直「これで本当に合っているのか」と自信が持てないまま提案していたことがある。今回のデータを読んで、その理由が少し分かった気がする。ターゲットを一枚岩に見ていたら、たぶん誰にも刺さらない。
僕たちがInsight Creativeという名前でやろうとしているのは、感覚で「たぶんこうだろう」と決めつける前に、実際に聞いてみることだ。アンケートや調査で裏付けを取ってから、初めて「誰に」「何を」伝えるかを考える。地味な作業だけど、結局これが一番の近道なんじゃないかと、このデータを読みながら改めて思った。
もし自社の採用施策や販促物が、なんとなくの感覚だけで作られている気がしたら——一度、実際に聞くところから始めてみませんか。僕たちもまだ手探りの部分は多いけれど、一緒に考えていけたらと思っています。
※本記事は、株式会社ダイブが2026年8月20日に発表した「地方移住に関する意識調査」(調査対象:全国の男女2,138名、調査期間:2026年7月28日〜8月3日)をもとに執筆しています。
出典:共同通信PRワイヤー「【2026年 地方移住に関する意識調査】全国男女2,138名調査。将来の移住関心層は全体の8割超。」
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