【第1回】部活動の地域展開シリーズ(全4回)

休日の部活動は「原則すべて」地域クラブへ。でも、いまはまだ2割に届いていない

会社として少し思うところがあって、しばらく部活動の地域展開について調べていた。実際に地域クラブの運営に携わっている知人から話を聞いたり、国のガイドラインや調査資料を読み込んだりしているうちに、いくつか興味深いことがわかってきた。一度に書くと長くなりすぎるので、何回かに分けて書いてみようと思う。
(全4回・今回は第1回)

きっかけは、スポーツ庁のサイトで見つけた「部活動改革に関する新たなガイドライン」というページだった。話には聞いていたけれど、頭から読んでみると、ここまで制度が作り込まれているのかと改めて驚いた。認定制度があり、指導者の登録制度があり、参加費の目安や高校入試での扱いまで書いてある。

第1回は、全体像と、いまどこまで進んでいるのかについて。

「移行」じゃなくて「展開」

これまでよく聞いた「部活動の地域移行」。実は2025年5月、国の有識者会議の最終とりまとめを受けて、正式な呼び名は「地域展開」に変わっている。

学校から地域へ部活を引き渡すのではなく、地域の人や場所を生かして、学校だけではできなかった活動まで広げていく。言葉を変えたのはそういう意図らしい。地域展開したあとも、学校の体育館を使ったり、希望する先生が指導に入ったりと、学校は「地域の一部」として関わり続ける。すっかり切り離されるわけではない。

ちなみに、部活動指導員を置いたり複数校で合同部活動をしたりと、学校部活動のまま外の力を借りる形は「地域連携」と呼んで区別している。運動部だけでなく、吹奏楽や美術などの文化部も対象だ。

2026年度から6年間の「改革実行期間」

2025年12月に文部科学省が策定した「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」は、2026年度から2031年度までの6年間を「改革実行期間」と位置づけた。前半3年と後半3年に分かれていて、間の2028年度末に中間評価が入る。

読んでいて一番大事だと思ったのは、休日と平日で方針の強さがまったく違うことだ。

休日は、この6年のうちに原則すべての部活動で地域展開を目指す。まだ手を付けていない自治体も、前半のうちに必ず着手すること、とまで書かれている。中山間地域や離島など、どうしても難しい地域は当面、部活動指導員の配置などで対応してもよい。

平日はそうではない。まず国が、自治体が現実にできるやり方を検証して、中間評価の段階で改めて方針を出す。つまり、まだ決まっていない。

「部活が全部なくなるらしい」という声をたまに耳にするけれど、少なくとも今、国が「原則すべて」と言い切っているのは休日だけだ。

で、実際どこまで進んでいるのか

スポーツ庁と文化庁が、2026年8月に「部活動改革の取組状況に関する調査」の最新版を出している。全国すべての都道府県と市区町村が対象だ。

休日に地域展開している部活動の割合は、2023年度の5.6%から2025年度は17.5%。この先は2026年度が27.8%、2027年度が38.2%の予定。伸びてはいる。でもゴールは2031年度までに「原則すべて」だ。2027年度の予定から数えても、残り4年で6割以上を動かさないといけない計算になる。

ところが自治体の数で見ると、印象が変わる。休日の地域展開に取り組んでいる市区町村は、2025年度の時点ですでに55.5%。2027年度には76.6%になる見込みだ。

半分以上の自治体が始めているのに、部活動の数で見ると2割弱。たぶん多くの地域が、希望の多い種目や受け皿の見つかった種目から、少しずつ始めている段階なんだと思う。ガイドラインにも、そういう段階的な進め方はあり得ると書かれている。

平日はもっとゆっくりで、2025年度が4.7%、2027年度の予定でも14.3%。方針そのものがまだ固まっていないのだから、これは無理もない。

旗を振るのは市区町村

もうひとつ押さえておきたいのが、誰が責任を持つのか。ガイドラインは、中学校を設置している市区町村を「改革の責任主体」と明記している。国は方針と支援、都道府県は人材バンクや指導者研修のような広域の土台づくり。その上で市区町村が計画を立て、地域クラブを認定し、全体を調整する。

しかも教育委員会だけで閉じる話ではなく、スポーツ、文化、福祉、まちづくり、財政といった部署が一緒に動くことが求められている。生徒の移動手段のところでは、介護施設や病院の送迎車に生徒が相乗りする、というアイデアまで出てくる。部活の話を読んでいたはずが、いつの間にか地域交通の話になっていて、ちょっと面白かった。

目標と現在地のあいだには、まだかなり距離がある。その分、制度の方は驚くほど細かく作られている。次回は、今年度から始まった「認定地域クラブ活動」という仕組みを読んでみる。

※本記事は、文部科学省「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(令和7年12月)、スポーツ庁・文化庁「部活動改革の取組状況に関する調査」(2026年8月公表)をもとに執筆しています。

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