【第4回】部活動の地域展開シリーズ(全4回)

地域クラブの参加費は、月1,000〜3,000円が「イメージ」。部活動の地域展開を支えるお金の話

会社として少し思うところがあって、しばらく部活動の地域展開について調べていた。実際に地域クラブの運営に携わっている知人から話を聞いたり、国のガイドラインや調査資料を読み込んだりしているうちに、いくつか興味深いことがわかってきた。一度に書くと長くなりすぎるので、何回かに分けて書いてみようと思う。
(全4回・今回は第4回)

シリーズの最後はお金の話。保護者にとっても自治体にとっても、結局いちばん気になるのはここだと思う。

参加費は月1,000〜3,000円程度、ただし「イメージ」

国は、休日に週1回・月4回くらい活動する場合で、参加費を月1,000〜3,000円程度とする「イメージ」を出している。

わざわざ「イメージ」と書いてあるのには理由がある。月数百円でも、月4,000円程度でもあり得るし、自治体の判断で参加費を取らずに全部公費で回すこともあり得る、と資料にははっきり書いてある。地域や種目で事情が違うから、目安は出すけれど縛りはしない。そういうスタンスだ。

気になるのは、家計が苦しい家庭のこと。ガイドラインは、家庭の経済状況の差が子どもの「体験格差」につながらないよう、困窮世帯への支援は確実に行うべきだとしている。実際に、生活保護世帯や住民税非課税世帯などの生徒に対して、参加費と保険料をあわせて年24,800円(月2,000円×12か月+保険料800円)を基本の上限に、国と自治体が半分ずつ負担する仕組みが用意された。参加費を月3,000円にしている地域なら、上限は年36,800円まで上がる。

国はどれくらいお金を出しているのか

令和8年度予算では、部活動の地域展開等に関連して57億円が計上された。前年度は37億円だったから、かなり増えている。これとは別に、令和7年度の補正予算で82億円が確保されている。

休日の地域クラブの活動費、つまり指導者への謝金や事務局の人件費などは、国・都道府県・市区町村が3分の1ずつ負担する。補助の単価は、参加する生徒の数と指導者の数、月の活動回数で決まる。スポーツの例を2つだけ挙げると、こんな感じだ。

参加生徒・指導者月4回程度月1回程度
27人以上・指導者3人以上年67.3万円年30.5万円
5〜12人・指導者1人年42.3万円年22.4万円

この単価と、実際にかかった経費から参加費収入を引いた額を比べて、少ない方が補助の基準になる。参加生徒が5人に満たないクラブは、へき地や離島などを除いて原則として対象外。

ほかにも、コーディネーターの配置や人材バンク、指導者研修といった体制づくりの費用、部活動指導員の配置費(報酬は1時間1,600円が補助の上限)にも補助がある。平日の地域展開に向けた実証事業は、国が全額を持つ。

それでも、会費と補助金だけでは回らない

ここまで見ると手厚く見える。でもガイドラインは、行政だけですべての課題を解決するのは難しいと、かなり率直に書いている。指導者も、場所も、お金も、民間企業や大学、地域の団体の協力が欠かせない、と。

企業に期待されていることの幅が広い。寄附や企業版ふるさと納税、スポンサーといったお金の面。社員を指導者として送り出すこと(副業や短時間勤務の制度づくりも含めて)。施設や用具の提供、運営のノウハウ。そして、地域クラブの運営そのものを担うことまで書かれている。

企業の側にもメリットが出るように、という配慮もある。練習着への企業名の掲載、ネーミングライツ、公共事業の審査での加点。ここまで具体的に書いてあるとは思わなかった。富山県の「部活動・地域クラブ活動応援企業」の登録制度や、2024年9月に立ち上がった「ブカツ・サポート・コンソーシアム」といった実例も紹介されている。大学に対しても、学生の指導者派遣や指導経験の単位認定、大学施設を拠点にした活動などが期待されている。


4回にわたってガイドラインを読んだことを書いてきた。

最初はルールの資料を読むつもりだった。でも読み終えてみると、これは「部活動をやめる」話ではなく、地域の仕組みを作り直す話だった。人をどう集めるか。場所をどう確保するか。子どもたちをどう運ぶか。お金をどう回すか。保護者にどう説明するか。どれも一つの部署や一つの学校では答えが出ないし、地域によって正解も違う。

もうひとつ印象に残っているのは、ガイドラインが何度も「生徒のニーズを把握すること」を求めていたこと。始める前にアンケートで希望や不安を聞き、始めた後も満足度や困りごとを聞き続ける。聞くべき項目の例まで載っていた。制度を作って終わりではなく、当事者の声を聞きながら形を整えていくことが前提になっている。

2026年度は改革実行期間の1年目。ここから先は、それぞれの地域で実際に回していく段階に入る。このテーマはこれからも追いかけていくつもりだ。

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